未来バンクニュースレター第11号を配信しました
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【1】吉田達 理事長コラム
「どうせ変わらない」という賢いあきらめを超えて
【2】融資先の活動紹介
(一般社団法人)ケアラーパートナー木の根っこ
https://kino-necco.com/
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▼まぐまぐ「未来バンク ニュースレター」https://www.mag2.com/m/0001300332.html
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【1】 「どうせ変わらない」という賢いあきらめを超えて
未来バンク 理事長 吉田 達
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私が理事長になって初めてのコラムです。なので、最初に私の価値観とか信条をお伝えしておこうと思います。
・基本的人権、個人の自由、多様性を大事にしています
・民主主義も今のところ人類が辿り着いた最もまともな制度として大事にしていますが、多数決原理で少数者の権利が蔑ろにされる面がある。そこを可能な限り少なくするために憲法があると理解しています
・個人の選択やライフスタイルに国家権力が介入しないことを良しとします。権力に対しては(それがどんな政党の政権であれ)その観点から批判的に見ていきたいと考えています
その私が、今回の総選挙の投票行動で示された状況に対して、未来バンクとして何が出来るかを考えようとしたのが、初のコラムの内容です。ただ、お読みいただければお分かりになると思いますが、まだモヤモヤとしています。
このテーマは読者のみなさんとも一緒に考えていきたいので、ぜひご感想やご意見をお寄せください。よろしくお願いします。
【要旨】
1.今回の解散・総選挙の進め方は民主主義上大きな問題があった
2.しかしながら、より深刻な問題は現役世代の変質=権力には逆らわない方が賢い=にありそう
3.その変質の背景を考えれば共感できる面はあるが、しかしこの態度を是認はしたくない。だとすれば、どのようにこの世代に「橋をかけて」いけばいいか、未来バンクは何ができるだろうか?
■今回の総選挙の民主主義上の問題
今回の総選挙では、“ポジティブにはっきりとものを言う”という高市氏の姿勢をショート動画の拡散等を駆使してアピールしていく手法が、対抗する中道改革連合の作戦ミスによる自滅と相俟って奏効した。ただあの圧倒的な議席数の差は小選挙区制によるところが大きく、得票数で見れば高市政権がそこまでの支持を得ている訳ではない事は意識しておくべきだと思う。
また上記の手法が成功した要因に、政権側が十分に準備をした上で野党の準備が整わない内に解散→超短期の選挙を強行した点があった事も看過できない。
そして何より、高市氏が語った“今回の解散の目的”自体に、議院内閣制、国会の重要性、民主主義の観点から大変な問題がある事は、この先もずっと指摘し続ける必要がある。中でも重要な二つの点について高市氏の解散記者会見時の発言を引用して指摘しておくと
(1)「高市早苗が内閣総理大臣で良いのかどうか、今、主権者たる国民の皆様に決めていただく」
言うまでもなく日本は首相公選制ではなく議院内閣制の国家。首相の正統性は「国会議員による指名」 →「国会多数派による継続的支持」 によって担保される。今回の選挙の仕方では、正統性を見極めるためのプロセスが整えられていない
(2)「前回の衆議院選挙では書かれていなかった政策」「だからこそ国民に問う」
議院内閣制では本来、国会審議(予算・法案)こそが政策正当化の中核。この発言は国会での熟議・修正・否決の可能性を軽視するもの。で、実際高市氏は自身が「全く新しい経済・財政政策を初め、国の根幹に関わる重要政策の大転換」といったその具体的な中身を選挙中何も言わなかったし、党首討論等の場で議論することも回避した
つまり問題の核心は「本来は国会で引き受けるべき緊張や不安定さを、全て選挙という外部装置に投げている事」となるだろう。
そもそも、「国論を二分するような」と言っている以上、そこには多くの人の反対がある事を高市氏自らが認めている訳で、その反対に対して数の力で押し切る事が認められない事は論を俟たない。
■より深刻な、現役世代の変質
私の持論は上記の通りだが、一方で選挙結果を受けて「リベラルは上から目線で嫌われている」言説が多く見られるようになっている。そんな中、過日ある方のSNS投稿を見て、私は衝撃を受けた。
それは今回の投票結果に見られる“現役世代の変質”について、投稿者が生成AIと対話した内容である。その内容を編集してご紹介すると
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Q:ここまでの異常な選挙結果は、マスコミが政府に対して強い忖度を発揮して大きな問題点を報道しないこと、中道がまったく不人気であったことなど、様々な要因が評されていますが、気になるのは投票者の変質です。古谷経衡という評論家は30?40代は高年齢層とは全く違う内面を有しており、国家権力に歯向かうという気概がないと言っていました。現役世代のこの傾向は、どのような背景から生まれてきたと思いますか?
A: ここは感情論ではなく、構造の話としていきます。結論から先に言うとあなたや古谷経衡氏が感じている違和感は、かなり妥当です。ただしそれは「若者が右傾化した」「愚かになった」という単純な話ではありません。
現役世代の変質の核心は、〈反抗しない〉のではなく、〈反抗という回路が最初から形成されていない〉点にあります。“反骨”や“カウンター”が成立しなくなった理由としては
(1) 敵が見えない社会で育った(=最大の理由)
60年代学生運動、70年代安保、あるいは同年代の反体制文化には共通点がありました。権力が分かりやすく“外部”にあった、国家・企業・アメリカ・警察など、顔のある敵がいた、闘うことが“自己同一性の獲得”に繋がった等です。
一方、今の30?50代前半が育った環境は、雇用は不安定だが敵は曖昧、貧しくなっているが誰のせいか特定できない、不満を言っても状況は改善しない実感だけは強い、つまり反抗しても“物語”にならない社会。これがまず大前提です。
(2) 教育による自己責任論の完成
日本では教育が完全に官僚制に握られていますが、重要なのは内容です。その教育によって現役世代が内面化した価値観は、政治は「汚いもの」、正義を語る人は「意識高い系」「痛い」、空気を乱す人=能力が低い、賢い人は権力に近づいて利用される、といったもの。
これは偶然ではなく、ゆとり教育以降の“協調性”“空気”重視、就活文化による過剰な自己検閲、SNSによる相互監視等によって、「反抗=リスク管理に失敗した人」という定義が刷り込まれた。“神宮の杜”問題で反対運動を行った坂本龍一への嫌悪感は、まさにこの文脈。内容以前に“場を乱すこと”自体が忌避される訳です。
(3) 冷笑主義は“合理的適応”だった
重要なのは、これを単なる精神的退廃と片付けないことです。彼らは実はかなり冷静です。「声を上げても何も変わらない」「変わらないなら、損をしない立場に行く」「権力に逆らうより、黙ってやり過ごす方が得」。これらは歪んだ合理性です。つまり、権力に媚びているのではない、「権力は倒せない」という前提で最適化している。だから「可愛がられる側に行くのがスマート」という感覚が生まれるのです。
Q: 「冷笑系が現役世代の中心になった」ということが最もこの現象を言い表しているように感じます
A: 中道やリベラルは本来、権力監視、弱者の代弁、理念の提示を担うはずでした。しかし現役世代からは、成功体験がない、責任を取らない、内輪の正義に酔っている、と見られてしまった。つまり“反対するけど、現実は動かせない人たち”。それなら、どうせ変わらないなら一番強いところに任せるという投票行動になる。これは支持ではなく、諦念による委任です
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■「どうせ変わらない」という賢いあきらめを超えて
この投稿をきっかけに、私はこれまでは観てこなかった類のYouTube討論番組をチェックしてみて、確かに上記のAIの見立てがあながち外れていない事を実感した。
私はこれまで研修講師として「今の若い奴は」と嘆くマネジャーに対して「若者は環境適応をしているだけ。なので、そのような環境を作った世代の責任も大きい」と伝えてきたが、今回まさにその発言が自分にも跳ね返ってきた感じである。
しかしながら、現役世代がこのような“賢いあきらめ”の中にいる事に対して「確かにこれらは環境に対する合理的環境適応であり、生き残り戦略だったんだろうなあ」と共感はできても、やはりその状況を「だったらそれでいいでしょ」と“是認”はしたくないと私は思う。ではその世代に向けてどのようにして言葉を届ければいいのか、「橋をかけて」いけばいいのか。
ここからはまだ私が“感じた”レベルのものであるが…上記のAIの整理やYouTube番組を見て、どうもこの世代は、常に自己責任が問われる中で「失敗した側に落ちたくない(落ちたら元の世界に戻れない)」「なんとかやっていけている今の生活を守りたい」という不安とともに生きてきたのではないだろうか。
であるならば、「今自分が落ちないようにしがみついている生き方だけが、唯一の生き方ではない」といった風に視界が広がればいいのかもしれない。つまり“別の生き方”への気づきである。もちろん、このような気づきは簡単には起きない(これも研修講師としての経験から)。ある体験をしてそこで「あれ、なんか変だな?」という違和感が生まれる。そのきっかけがないと気づきには繋がらない。
なので、この“きっかけ”づくりに未来バンクが出来ることは少ないかもしれないけど、未来バンクがご支援している様々な活動の内容や、その当事者のみなさんの生き方をお伝えしていくことが、もしかしたら“きっかけ”になるかもしれない。
もやもやしながらも、ここに少し明るい希望を見出している。
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【2】融資先の活動紹介
(一般社団法人)ケアラーパートナー木の根っこ
https://kino-necco.com/
理事 坂本はるみ
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■「ヤングケアラーとは」
障がいや病気のある親や高齢の祖父母、きょうだい等、家族に介護を要する人がいる場合に、大人が担うような介護責任を引き受け、家事や家族の世話、介護、感情面のサポートを行っている18歳未満の子どものことです。
2023年7月10日、厚生労働省が社会保障審議会の部会に、新たな介護保険制度の基本方針案を示したことが新聞報道等で明らかになりました。日常的に家族の世話や介護を担う18歳未満の子ども「ヤングケアラー」や、認知症高齢者を介護する家族への支援を初めて盛り込んだことになり、2024~26年度の区市町村の事業計画に反映されることになりました。
国が初めて実施した全国ヤングケアラー調査によると、公立中学校の2年生、公立の全日制高校の2年生の各クラスに、1人から2人いることが分かっています。家族が困っていたら、何かできることをして家族で助け合うのはとても大切なことです。
でも、その「お手伝い」の域を超える過度な介護が長期間続くと、心身に不調をきたしたり、遅刻や欠席が多くなったりして、その年齢で経験する学校における社会生活に影響を及ぼすものであれば、その後の成長過程に大きな影響を与えることになります。学校生活や健康面などに負の影響を受けている場合も多く、ヤングケアラーへの支援は地域社会の喫緊の課題と言えます。
■「木の根っこ」発足の経緯について
私はケアマネージャーの仕事をしていた時にヤングケアラーの存在を知って衝撃を受け、介護職の仲間と一緒にヤングケアラーについて勉強をしていく中で、まずこの江戸川区の中で行政や地域が若い世代のケアラーの存在を認識し、彼らを取り巻く現状・課題を共有し、必要な支援を行う事が急がれると考えました。
いろいろ検討していく中で、多くの人とこの課題を共有する場が必要と考え、2019年介護現場で働く仲間たちと実行委員会を立ち上げ、2019年11月30日に区内で「ケアを担う若者たちの声を聴こう!」という勉強会を開催しました。開催にあたり江戸川区と江戸川区社会福祉協議会の後援も頂き、広くチラシを配布したことで、当日は114名の参加がありました。
日本ケアラー連盟の代表理事の堀越栄子さんに講演をお願いし、実際にケアを担っていた若者に体験談をお願いしました。勉強会当日、実態調査の実施について提案し、予め準備した調査票を配布させていただきました。その後江戸川区の各部署の協力も得て2ヶ月間で340名分の回答が集まりました。
2020年2月1日の有志による調査票の集計・分析をもとにその後中間報告書を作成、2020年3月7日に報告会を予定していましたがコロナ禍の為やむなく中止。「報告書」を仕上げ、調査に協力してくれた皆さんお一人お一人に配布するとともに、後援をいただいた江戸川区に対し区長へ面談し「報告書」を手渡し調査から明らかになったヤングケアラーの実態を訴えさせていただきました。さらに調査に協力していただいた各部署の課長に声掛けをし、「報告書」をもとに意見交換会を実施しました。
2021年1月、再び調査の集計・分析の協力者に声をかけ、今後ヤングケアラー・若者ケアラーへの具体的な支援の動きをどのように作っていくのか、問題を整理する為に堀越栄子さんの勉強会を実施。その後2021年3月、区内のヤングケアラー・若者ケアラーを支援することを目指し、地域への啓発活動やケアラーへの具体的支援策を検討、実施していく団体を発足して名前を「ケアラーパートナー ~木の根っこ~」と決めました。(後に助成金申請の関係で一般社団法人格を取得)地域でしっかり根を張った活動にしていくという思いを込めています。
メンバーの職種は、介護福祉士、ケアマネジャー、助産師、病院勤務、薬剤師、介護施設管理者…など本当に様々ですが、こうした専門職がヤングケアラー・若者ケアラーの問題をきちんと認識し、気づく目を持つことが大事だと思っています。それから2ヶ月に1回継続して定例会を開催し、いつも活発な意見交換がなされています。
■「木の根っこ」の活動について
まず、会の活動の手始めにリーフレットを作成しました。 リーフレットには、江戸川区児童相談所( 以下、児相 ) の電話番号や、なごみの家、健康サポートセンターなどの名前が掲載されています。掲載に当たって、関係機関を訪れ掲載許可を取る作業を行っていきましたが、それが木の根っこを知ってもらう良い機会となり、その後の行政とのやりとりがスムーズになったと思います。
仮に支援者がヤングケアラーを見つけても、相談先がなければ、現状を変えることは難しいです。児相という相談先を得たことは大きな1歩といえるでしょう。電話番号掲載にあたり、児相の課長が“とにかく児相に電話してください。ここで全て引き受けます ”と言ってくれました。江戸川区に関しては、“もしかしたらヤングケアラーかも”という子がいたら児相に相談して、児相から介入してもらえます。ただ児相に連絡して“終わり”ではありません。その後地域で何ができるか、今後は考えていく必要があるでしょう。
リーフレットは “ 医療・福祉・保健・教育を担うみなさんへ ”向けて作成して区の教育長への面談も行い、区内の公立の小・中学校の全職員への配布がかないました。メンバーたちが手弁当で始めたリーフレット作成と配布で、賛同者も増え、寄付も少しずつ集まり当初の7, 000部ではすぐに足りなくなり、さらに7, 000部増刷をかけました。

その後、学校や公共施設に掲示していただけるようにポスターを作成し、メンバーで手分けして配布して回りました。当事者にそっと手渡ししやすいように手の平サイズの若葉カードも作成。こちらも積極的に配布しています。
2022年10月から念願の当事者たちの居場所も作りました。「ヤングケアラーズカフェ若葉」と名付けて、鹿骨と中央で毎月1回ずつ開催しています。相談に来る場所ではなくて、ここに通い一緒にゲームをしたり、みんなでカレーを食べたりすることで同じ境遇にある仲間や、かつて同じ体験をした元ヤングケアラー、自分を大事に思ってくれる大人とつながり、地域社会から孤立することなく抱える問題の解決を図る場所になれるように心掛けています。
現在、児童相談所やSSW(スクールソーシャルワーク)の介入で女子が3名、男子が1名定期的に通ってくれています。必要としている子どもはもっとたくさんいるはずと思っていますがなかなかつなげることができないことが現在の大きな課題だと思っています。
2023年には地域の方にヤングケアラーについて知っていただく為区内4ヶ所で連続勉強会を開催し、各回とも定員を上回る参加がありました。その中から自身がきょうだいケアラーという若者達数人との出会いがあり、当事者目線のリーフレットを作りたいとの声を元に若葉の参加者、元ヤングケアラーも交えてチームを発足、2023年度末にリーフレット第2弾を作成しています。
木の根っこの活動資金は2022年から江戸川区ヤングケアラー相談支援等事業補助金を申請し書類審査及びヒアリング審査を経て毎年補助金をいただいています。しかし何分にも1年間の活動が終わって年度末に収支報告書を提出しその内容が承認されて初めて補助金が出るという仕組みになっている為、年度初めに活動の為の資金はありません。
その為補助金をいただくまでの間未来バンクに融資をお願いし活動資金に当てて、補助金が出たら返済しているという状況です。未来バンクがなければ私達の活動は成り立ちません。本当にありがたく感謝しています。
今後ともどうぞよろしくお願い致します。
<取材希望者募集!>
ニュースレターで取り上げてほしい活動などあれば、未来バンク事務局宛にご連絡ください。順次、お伺いいたします。
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▼未来バンクとは
市民が組合員となって出資していただいた資金を、環境・市民事業・福祉の目的に関して、市民やNPO団体・法人が起こす社会的有用性の高い事業や取り組みに対し「融資」という方法で支援することを目的に設立された、市民による市民のための非営利バンクです。
出資者のみなさまの夢のこもったお金を通じて、想いと人をつなぎ、住みよい未来を育てていきます。
▼融資実績 NEW!
融資累計件数:467件
融資累計額:約15億85百万円(2026年3月18日時点)
今期進捗(2025年7月~2026年6月) 融資件数:4件
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未来バンクニュースレター 第11号/2026年3月
発行・編集 :未来バンク事務局
発行日 :2026年3月
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東京都江戸川区東小松川3-35-13-204
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